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MAGAZINE ふるさと図鑑

オリジナル帽子 襟立製帽所

オリジナル帽子 | 襟立製帽所

自分の暮らしに沿う、襟立製帽所の帽子

岡山県浅口郡(現浅口市)鴨方町でかつて、麦わら帽子の生産をしていた襟立製帽所は、2004年にオリジナル帽子の企画・販売をスタートさせた。デザイン力と上積みされた技術、そして素材を見る目が完成させる帽子は、ゆっくりと確実に、帽子業界の内外で存在感を築いた。現在は、倉敷美観地区に3つの直営店がある。

vol.1機能だけでない楽しみを教えてくれる
帽子が、つくられる場所へ。

小学校と、川と、小さな山

工場というより、仕事場。というよりも、「皆で(和気あいあいと)帽子をつくる作業をする場」に見える。窓際に並んだミシンに向かって、女性スタッフが作業をしている。その後ろにはデザイン担当の女性と、仕上げや検品などをする男性がいて、作業場の中央に共用のアイロン台がある。少し開いた窓から見えるのは、近所の小学校と、川と、小さな山。作業の手を止めて、ミシンから視線を上げると、小学校のグラウンドが視界に入る。保育園や幼稚園も近く、スタッフは、子どもたちが小さかった頃は見送りをしたり、学校からの連絡で飛んで行ったり、行き帰りに顔を合わせながら仕事をしてきた。ここが、岡山県浅口市鴨方町にある襟立製帽所の工場だ。

襟立製帽所がつくる帽子は、いろんな形があり、ベレー帽やキャスケット、ツバの長いハットなど種類は無限とも言える。男性用、女性用、ユニセックスが同じくらいの割合である。1960年の創業当時から、下請けで麦わら帽子を中心に製造していた。しかし現在の社長である、襟立重樹さんが家業を継いだ2004年から、自社デザインの帽子の企画・販売を本格的にスタートさせた。

力加減だけで、帽子の立体を生み出す

今では全国にファンを増やし、同業社からの注目も集める「襟立製帽所」の帽子。工場では、それぞれ得意分野を持つ技術スタッフが、専用のミシンと道具を動かして製作にあたる。世代交代をし、もっとも長く勤務している人が18年目。先代の頃から勤めているから、現社長より先輩だ。

襟立製帽所の帽子を代表する顔のひとつが、「ブレード帽子」。およそ5ミリから10ミリ幅程の麻などの繊維をテープ状にした材料をブレードと言い、帽子の木型に合わせ縫い合わせていくもの。麦わら帽子の製造で培ってきた技術がそのまま生かされる。縫い始めは、頭頂部からブレードを縫い合わせ行くだけで、帽子の形が作り出されるのだが、途中で使う糸を変えるわけでも、何かを使って角度をつくるわけでもない。左右の手の力加減を変えるだけで、立体を生み出す熟練の技だ。朝8時半から17時までの勤務時間内に、麻や綿、紙などの材料でつくる「ブレード帽子」およそ10個が完成する。

生まれ持った感覚がものを言う

ブレード帽子の職人は現在3人。そのうちの1人は、襟立さんの妻の倫代さんだ。「麦わら帽子をつくっていた私の母は、引退する時、『あの子(倫代さん)はセンスがあるみたいよ』と言っていたんです」と襟立さん。技術は習得していくものだが、帽子という立体感を感覚で掴むには、生まれた持った感覚がものを言う、ということらしい。それを、熟練の義母はいち早く見抜いた。

「下請けから脱却して、自分たちでデザインした帽子をつくると決めましたが、ほとんどゼロからのスタートだったんです」と振り返る。JR西日本の観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」の女性乗務員の帽子などのOEM(受注生産)や、企画・製作から行うODMを受けながら、長期的な視野を持ち、入社してからの10年間、生産基盤をつくることに専念した。

ミシンの使い手は、倫代さんの地元の友だちからも探した。帽子のデザインは、アパレル業界で経験を積んでいた襟立さんが自ら行ない、その後、本職のデザイナーも加わった。大阪モード学園と文化服装学院で8年間、服飾の勉強をした森元ミカさんだ。

写真(下)JR西日本の観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」の女性乗務員の帽子も襟立製帽所によるもの。紺色のブレード帽子に白いリボンがエレガントなオリジナル帽子。

ミシンの使い手とパタンナーの連係

森元さんはデザインだけでなく、パタンナーとして、布帛帽子(ふはくぼうし。織物の生地でつくる帽子)のデザイン画を元に型紙を作る。「サイズ58センチの帽子をつくる時は、パーツのサイズの合計を60センチにします。そうすると、58センチになります。…そう仕上げてくれるんです」。帽子の裏地や、『スベリ』という内側のテープの具合、生地の膨らみなどがあり、サイズを完成させるのは、緻密な計算というより、感覚的な手応えがものをいう部分。加えて、ミシンの使い手とパタンナーの阿吽の呼吸、スムースな連係がある。これは襟立製帽所の大切なひとつの要素になっている。

アイロンを当てると、木型に載せたブレード帽子にはなめらかな立体感が生まれ、布帛の帽子は縫い代が、キリッと平らになり、頭への当たりを無くす。やわらかな空気の中に、真摯に取り組んだ細部が目覚める。

生産基盤づくりの6年目に、倉敷美観地区に最初の店舗を開いた。その一番の目的は、お客さんの意見を帽子づくりに生かすこと。たとえば「急な雨に降られた時、くしゅっと畳んで仕舞える帽子が欲しい」といった言葉を直接聞けることが今、最大の強みとなっている。

(2018年5月取材)

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information

  • 株式会社 襟立製帽所

    住所:岡山県浅口市鴨方町鴨方160-8[Google マップ
    最寄り駅:JR山陽本線「鴨方駅」から車で約5分
    TEL:0865-44-5343
    http://www.eritate.com/
    https://www.facebook.com/eritatehat.inc/

  • 襟立製帽所 倉敷本町店

    住所:岡山県倉敷市本町11-26[Google マップ
    最寄り駅:JR山陽本線「倉敷駅」から車で約5分
    TEL:086-422-6544

  • 襟立帽子店

    住所:岡山県倉敷市本町5-27(クラシキ庭苑内倉敷川沿い2F)[Google マップ
    最寄り駅:JR山陽本線「倉敷駅」から車で約5分
    TEL:086-422-6545

  • eritto store+ERITTO&Co.labo

    住所:岡山県倉敷市本町1-30 クラシキクラフトワークビレッジ[Google マップ
    最寄り駅:JR山陽本線「倉敷駅」から車で約5分
    TEL:086-489-0987
    http://www.erittostore.com/

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