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昼食は、尾道界隈で水揚げした魚料理を、尾道水道を望む老舗料亭でお楽しみいただけます。
備後畳表・備後い草について
備後畳表の歴史は古く、室町時代1347年に中原師守の書いた日記「師守記」の中で『父の供養の為,備後筵(むしろ)をお布施した』との記載があり、この頃から畳表が栽培・製織されていたことが伺えます。備後(福山)地域は気候と土壌に恵まれ農耕文化が発達していたことに加え、水野勝成の保護により高い技術を保持、良質な畳表づくりの条件が揃っていました。また、その質の高さから、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など歴代の武将に愛され、名城の間や神社・仏閣には備後畳表を使用した畳が敷かれていました。そして現在も、皇居をはじめ国宝・重要文化財の建築物の畳には「びんご畳表」が多用されています。
湿度の高い日本の気候に最も適しているとされる畳は、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。また「びんご畳表」は一般的な畳表と比べ、良質ない草を惜しみなく使用し隙間なく織り上げていくため、厚みがあり耐久性が良いことで知られています。使うほどに艶が増し金色の輝きを持つのも魅力のひとつです。
「びんご畳表」の原材料となる備後い草は、冬に植え付けを行い、春に新芽の生長を促す先刈りと転倒防止のくい打ち、夏に刈り入れを行い、刈り取った直後に泥染めし乾燥させます。
栽培も織り上げる技術も熟練の技を必要とするい草産業は、生活様式の変化から需要の減少により作付面積は減少、生産農家の数についても一桁まで減少しており、広島県い業協会は地元の大学などと共に技術の継承と後継者育成に尽力しています。
現在は畳をはじめ、現代のライフスタイルにも取り入れやすい置き畳や、寝ござ、 草履、円座などを製造。備後い草の良さを伝え続けています。
備後い草・円座職人 佐藤 美津子
Mitsuko Sato
広島県福山市で1990年頃より円座を編み始める。質の高い商品を生み出す技を身につけるまでは修行の連続、今でも修行のつもりで一点一点、丹精込めて編み続けている。
現在は、円座(とび円座・渦円座)をはじめ、藁や麻など天然素材を用いた円座の制作や、オリジナルサイズのオーダーなど全国からの注文に応じている。
広島県福山市の伝統産業であり全国屈指の高級品とされる「びんご畳表」と、その原材料である「備後い草」の歴史を学び、その貴重ない草を使用して手作業で編み込んで作り上げる敷物「円座」を制作します。畳表の生産者を訪ね、尾道市「浄土寺」を巡る、1泊2日の体験プログラムです。
熟練した技を持つ職人でも1日1枚ほどしか作りあげることのできない円座。このプログラムでは、希少性の高い備後い草を使用して、匠の手ほどきを受けながら1日かけて円座の制作を行います。また、小津安二郎監督の映画「東京物語」のロケ地にもなり、本堂・多宝塔が国宝指定を受ける尾道市「浄土寺」を訪ね、境内の庫裏(くり)及び客殿にしつらわれた畳表をご覧いただけます。