体験する
真庭市を代表する伝統工芸「郷原漆器」の木地師の技に触れ、漆掻き、漆塗り、漆染めを堪能できる1泊2日の体験プログラムです。
圃場で漆を掻き、自分で掻いた漆をお椀に塗ってお持ち帰りいただけます。漆掻きから漆塗りまでを一貫して同じ地区で行える漆器制作においては、全国的にもほとんど類がなく、蒜山(ひるぜん)だからこそできる希少性の高いものとなります。
また、本プログラムでは、漆の樹液を採った後の漆を十分に乾燥させ、煮出して染める「漆染め」の体験もお楽しみいただけます。染め上げた品は当日お持ち帰りいただけます。
食を愉しむ
昼食は「蒜山ワイナリー」の発酵ランチ、夜は宿泊施設にて地域食材をふんだんに使用した料理をご堪能いただけます。昼・夜ともにこのプログラム限定の「郷原漆器でいただく一皿」をお楽しみいただけます。
郷原漆器について
伝統工芸継承・木地師 髙月 國光
Kunimitsu Takatsuki
岡山県倉敷市生まれ。2003年に石川県挽物轆轤技術研修所を修了し、郷原漆器に木地師として従事。2006年に郷原漆器が岡山県指定重要無形民俗文化財となり木地師として迎えられる。2005年、日本伝統工芸中国支部展の岡山県知事賞受賞を皮切りに、第64回 日本伝統工芸展 NHK会長賞、福武文化賞、伝統文化ポーラ賞奨励賞など数々の賞を受賞。ものづくりの喜びを感じてほしいと、岡山県真庭市内の小学校で本物の漆塗り体験授業を定期的に行う。また博物館や美術館でのワークショップにも積極的に取り組んでいる。
「郷原漆器」は、岡山県真庭市蒜山に自生するヤマグリの木を生木のまま輪切りにして形成し、林から採取した漆で塗り上げる約400年続いてきた手仕事です。使うほどに艶やかさが増していくことも魅力。岡山県の重要無形民俗文化財にも指定されています。
「郷原漆器」の木地づくりは独特で、使用するヤマグリを生木のまま輪切りにし、年輪の芯を中心に一気に木地挽きを行い、乾燥は形成の後に行います。職人技ともいえるこの技法は、昔も今も変わらぬ「郷原漆器」の特徴です。
また、下地作りに長年堆積してできた蒜山産の珪藻土などを用いることで、割れにくく丈夫で、滑らかな質感を生み出しています。
木目を魅せる漆塗りも「郷原漆器」の特徴のひとつ。漆を塗って固め磨く工程を経て、仕上げ塗りは塗りっぱなしにするため、埃などの付着に細心の注意を払い美しく塗り上げる熟練の技が必要とされます。
江戸時代には年間40万点の生産が期待されていましたが、昭和の戦争を機にその生産が一度途絶え、平成に入り復活への取り組みが開始。現在は、振興会を中心にウルシやヤマグリの植樹、後継者育成にも力を注いでいます。