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2022-12-08
第14回 ふるさとあっ晴れ認定品。
テーマは「持続と進化」。
岡山エリアから選ばれた13件をご紹介。
コロナ禍は人々の生活や経済社会に大きな変化をもたらしました。そんな中でも岡山エリアに根差し、幾多の困難を乗り越えて価値や伝統を守り続けている技術や文化、さらに、地域の資源を活用し、価値を高めていく取り組みや、持続可能な社会を目指して進化し続けるものがあります。
第14回 ふるさとあっ晴れ認定委員会は「持続と進化」をテーマとして開催。ノミネートされたのは岡山エリアで、その場所にしかない文化・技術を継承し、進化しつづける13件。「あっ晴れ!大賞」には、「脱硫マッチ」「岡山レース」「喜多嬉かき」「石とカカオが生み出すチョコレート」の4件が選ばれました。
第14回 ふるさとあっ晴れ認定品ラインアップ
脱硫マッチ
株式会社 中外燐寸社
明治23年に創業した中外燐寸(マッチ)社は、現存するマッチ製造会社の中で最古。4代目がぜんそくに苦しむ母の姿を目の当たりにし、20年の歳月をかけて体に優しいマッチを開発。1976年に製法特許を取得した「脱硫マッチ」は、先端の着火部分に硫黄を使用していないので、ぜんそくの引き金になる亜硫酸ガスが発生しない。ツンとする刺激臭がなく、アロマキャンドルやお香にもぴったりだ。美しい2色の箱がパッケージされた「HOWARI(ほわり)」や、レトロな絵柄を生かした土産用マッチ、廃棄用軸材を有効利用した着火剤などの新製品はプラスチックごみを減らすため、紙製の外箱やパッケージにこだわり、環境にも配慮。また、事務所で使う電気は太陽光発電から供給され、その電気で充電した電気自動車で営業を行うなど、環境保全に取り組みながら高品質なマッチ製造を続けている。
岡山レース
岡山レース 株式会社
かつて日本にたくさんあったレース工場は、時代の移り変わりとともに減少。大阪より西では一社となった歴史ある「岡山レース」。技術と伝統を守りながら、花や動物、幾何学模様などを施したレースを製造している。柔らかな表現にこだわり、熟練した職人が手作業で型をおこすパンチング。高さ4.5m、全長20mにもなる昔ながらの「エンブロイダリーレース刺しゅう機」で、520本の針の間隔を微調整しながら、繊細な模様を生み出す。コンピューターには出せないふっくらとした糸遣いや手作り感、ぬくもりのある風合いが特徴だ。顧客のきめ細かい注文に応じられるのも強みの一つ。最近は会社の知名度アップに向け、地域密着の取り組みにも力を注いでいる。社寺と協働して製作した、レースをあしらった御朱印帳やお守りが人気。
喜多嬉かき
勇和水産
笠岡諸島の北木島に広がる海域は透明度が高く、牡蠣のエサとなるプランクトンが豊富に含まれている。勇和水産では、定期的に底引き網で海底の清掃作業を行うなど、徹底した衛生管理下で1年かけて養殖。穏やかな潮の流れで育った牡蠣は、濃厚でうま味たっぷり。臭みやクセもないので、苦手な人でも食べられると評判だ。牡蠣が出回るシーズンはお正月、成人式、合格発表などの行事と重なる。祝いの席で、喜び多く嬉しい時間を過ごしてほしいと「喜多嬉(きたき)かき」と命名し、縁起の良い出世魚のごとく、サイズによって「ひながき」「喜多嬉かき」「美海(みう)がき」と名前を変え、販売している。また、特殊な緩慢冷凍を独自開発し、春先の一番美味しい時期の牡蠣を殻付きのまま保存。季節を問わず生食可能な牡蠣が楽しめる。牡蠣を使ったビールなど商品開発にも取り組む。
石とカカオが生み出すチョコレート
石挽カカオissai(いっさい)
旧山陽道の宿場町、岡山県矢掛町に誕生した「石挽カカオissai(いっさい)」。矢掛町は良質な花崗岩の産地で、チョコレートを作るカカオ豆専用の石臼の開発に携わったことを機に、その奥深い味わいに魅了された石材店と彫刻家がオープン。カカオ豆からチョコレートが出来上がるまでの工程を一貫して行うBean to Bar製法。産地別のカカオ豆の個性を最大限に表現するため、加えるのは和三盆のみ。石板を使用し、ハンドテンパリングによる正確なカカオバターの結晶化にこだわって製造。重要な作業の一つ、カカオニブ作りの一部は就労継続支援事業所に依頼し、手作業で丁寧に行い、最後はissai独自の矢掛町産白色花崗岩の石臼で仕上げる。豊かなカカオの香りと口溶けの良さが特長だ。また、カカオ豆の可能性を追求し、カカオ菓子やドリンク、アルコールなどの商品開発も手掛ける。
真庭あぐりガーデン
真庭あぐりガーデン
「SDGs未来都市」に選定された岡山県真庭市の持続可能な循環型社会づくりをコーディネート、啓発する場として活動する「真庭あぐりガーデン」。日本でも数少ない取り組みの一つ、生ゴミやし尿、浄化槽汚泥をメタン発酵させ、液肥に変えて再利用するシステムを真庭市などと協働・連携し構築。バイオ液肥で育てた農産物を使ったレストランや直売所など、食を通じて地元の魅力を発信している。地域のおばあちゃんたちとともに、規格外の野菜を時短で簡単調理できるようカットした「お節介野菜」の製造・販売や、子育て支援事業として物作りや農作業の体験ワークショップなども開催。
津山市城西地区
城西まちづくり協議会
江戸時代から城下町として栄えた津山市城西地区。江戸期の社寺や、近代の繁栄を物語る商家のまち並みが残されている。津山藩主・森家の菩提寺「本源寺」をはじめ12ケ寺が集まった寺町は、高い漆喰の塀と豪壮な仏閣建築が整然と建ち並ぶ。城西まちづくり協議会が手作りした社寺マップや、若手僧侶らによる寺巡りツアーなど、住民が一丸となって魅力を発信。大正から昭和初期に商業で栄えた旧出雲街道沿いには大正ロマン漂う、旧土居銀行の「作州民芸館」と、田町には中島病院の旧本館が「城西浪漫館」(両館とも国登録有形文化財)として保存。住民の交流やにぎわいの拠点として活用されている。
奉還町商店街
奉還町商店街振興組合
明治初期、廃藩置県で職を失った池田藩の武士たちが奉還金を元手に店を興したのが始まり。地域住民の生活に密着した店が多く、昔ながらの人情の厚さと庶民的な雰囲気が魅力。1999年5月に開設したコミュニティ施設「奉還町りぶら」を拠点に、地元の学校やアーティストらとの連携強化を図る。長年続いている7月の土曜夜市や、奉還町の人・もの・場所を紹介するSNS、最新のデジタル技術を使ったアートイベントなど多彩な事業を展開し、商店街を活性化。近年は若者が相次ぎ出店しており、若い感性とエネルギーがにぎわいにつながっている。
福の町たけべ福渡
たけべ福渡しプロジェクト
岡山市建部町にある縁起のよい地名「福渡(ふくわたり)」。その昔は美作国と備前国との国境の地であり、日本の原風景を思わせるのどかな風景が広がる。町を流れる旭川には7つの橋が架けられ、その中の一つ「しあわせ橋」は何度も流されても復活を遂げ、地元のシンボルになっている。ノスタルジックな雰囲気漂う商店街や温泉、鉄道ファンを惹きつける撮影スポットなど魅力が満載。観光列車の運行を機に、町内の有志らで「たけべ福渡しプロジェクト」を結成し、観光客をもてなす楽しいイベントを企画。地域ににぎわいをもたらしている。
BASE101%
株式会社 西粟倉村・森の学校
自然豊かな岡山県西粟倉村。森林資源をブランド化し、次々と商品化。関連事業をはじめ、ローカルベンチャーを増やして雇用が生まれ、村が活性化した。人口約1400人の1割以上の約200人が移住者という。2022年3月にオープンした「BASE 101% -NISHIAWAKURA-」は、人と自然の可能性発掘基地がテーマ。ないものではなく、あるものに価値を見出す。山々を駆け回る鹿肉をメインにしたジビエランチや、木材加工時に出た樹皮とおが粉を肥料にしたイチゴ栽培、地域のこだわりを集めたショップなど、商品の背景に自然や人の顔が見えるようなものを提供している。
高梁紅茶
百姓のわざ伝承グループ
昼夜の寒暖差が大きいことで昔からお茶が栽培されていた高梁市。春から初夏にかけて発生する霧が紫外線から守り、苦みを抑える効果があり、良質な茶葉に育つという。高齢化が進み耕作放棄地となっていた茶畑を、百姓のわざ伝承グループが地域住民やノートルダム清心女子大学の学生らに参加を呼び掛け、6年かけて美しい茶畑に蘇らせた。農薬を使用しないで栽培される「高梁紅茶」は、やさしい香りとほのかな甘みが特長。渋みが少なくあっさりしているので、洋菓子だけでなく和菓子や果物との相性もよい。学生と協働で地元の魅力向上につながる商品開発にも取り組んでいる。
きびそば
冨來屋本舗
桃太郎のきび団子でおなじみのタカキビは、日本に古くから栽培されている雑穀の一種。ポリフェノールや食物繊維、ビタミンEなどが豊富に含まれるスーパーフードとして注目されている。倉敷美観地区で郷土料理店を営む冨來屋(とらいや)本舗は、吉備国らしさにこだわった商品を追求し、10年前に県産のタカキビを使った「きびめん」を開発。毎日、季節の気候に合わせ、コシを調整しながら独自の製法で練り上げる。麺のもちもちとした食感とタカキビの爽やかな香り、だしのうま味が重なり合って美味。半生麺を持ち帰ることも可能。
岡山カレー
OKAYAMAまちおこし隊
「岡山を市内中心部から盛り上げたい」という熱い想いから生まれた「岡山カレー」。岡山特産の白桃は、果皮が薄く日持ちしないため、小さな傷や過熱によって出荷できないものが生まれる。規格外の桃をチャツネに加工し、楽しんでいた桃農家のカレーからヒントを得て開発。白桃の旬は限られているが、加工することで年間を通じて楽しめ、食品ロスに貢献している。白桃チャツネは、カレーの辛さにコクと甘みを加え、旨味を引き立てる。カレーライスはもちろん、ピザやパスタ、うどんなどさまざまなジャンルに広がり、岡山市内47店舗で提供中。
畑でとれるアイス
畑でとれるアイスのお店 AOBA
「畑でとれるアイスのお店 AOBA(あおば)」は、耕運機のモーター技術を活かしたアイスブレンダーを使い、冷凍した果物・野菜と蒜山ジャージー乳をブレンドしたオリジナルアイスを手掛ける。農家が抱える規格外の作物を活用できるのが強み。アイスは1杯ずつ製造するため、少量でも取り扱い可能だ。素材の味わいを活かすために甘さを控え、無香料・無着色で仕上げている。メニューは四季折々の果物や野菜50種類。ほかにも御津地区の山椒、倉敷の薄荷、高梁市の桜、備前の味噌など幅広いメニューを開発。アイスを通じて岡山の魅力を発信していく。
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