ふるさとおこしプロジェクト

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NEWS

2021-11-30

第13回 ふるさとあっ晴れ認定品。
テーマは「せとうちの海を育む山々」。
岡山・備後エリアから選ばれた14件をご紹介。

県北部の分水嶺である中国山地から、吉井川、旭川、高梁川を主流に豊かな水を湛える岡山県。豊富な養分を蓄えた水源は大地を潤し瀬戸内の海に注ぎこまれ、豊饒な海を育みます。
持続可能な社会の実現が推進される中、第13回 ふるさとあっ晴れ認定委員会では「せとうちの海を育む山々」をテーマとして、岡山・備後の山や河、海が織りなす自然の循環に着目。
「あっ晴れ認定品」にノミネートされたのは岡山・備後エリアの魅力的な14件。
第13回「あっ晴れ!大賞」には、「牟佐大久保ひまわり畑」「倉敷薄荷」「吹屋の紅だるま」「パスクラサンバター」の4件が選ばれました。

第13回 ふるさとあっ晴れ認定品ラインアップ

牟佐大久保ひまわり畑

大久保町内会

JR津山線牧山駅から徒歩5分。岡山市北区牟佐(むさ)にある大久保地区は1級河川・旭川沿いの集落。2018年の西日本豪雨では、辺り一面の畑や倉庫が浸水し大きな被害を受けた。黄ニラ農家の山本浩貴さんは、被災した畑を復活させるため土壌回復の緑肥として1人でヒマワリを植えた。太陽に向かって開く大輪の花々に住民らは笑顔を取り戻し、ひまわり畑は地域の新しい魅力発信の場となる。2年目には町内会が一丸となり、耕作放棄地も活用して植え付け面積を5倍に。3年目はさらに農地を広げて農産物や飲食物の週末マルシェを開催するなど、地域ににぎわいや活気をもたらしている。見頃時期は約10万本が咲き誇るというひまわり畑の光景は圧巻。駅から畑へ向かう潜水橋や広がる山々の景色はのどかで、忘れかけていた日本の原風景を思い出させてくれる。

倉敷薄荷

倉敷薄荷陳列所

日本に自生するミント、薄荷(はっか)はシソ科の多年草。薄荷の香りは清涼感をもたらしてくれるほか、抗菌や消臭、虫よけ効果が期待される。戦前、日本の薄荷生産量は世界1位。岡山県は国内シェア2位の一大産地だったが、高度経済成長に伴って栽培農家が減少し衰退した。吉備のくに未来計画では、かつて倉敷市にあった農場試験場で開発された幻の品種「秀美(しゅうび)」に着目し、2012年に薄荷栽培の復活に成功。栽培には休耕田を活用するなど環境保全とビジネスを両立させた取り組みを実践し、育てた薄荷の商品開発・販売を行っている。「秀美」はペパーミントなどの洋種薄荷と比べてメントール成分が多く、甘みのある穏やかな清涼感が特徴。アロマテラピーに使用するエッセンシャル・オイルや、マスク着用時の気分転換に使えるエアフレッシュナーなどを展開中。

吹屋の紅だるま

佐藤紅商店

愛くるしい表情のだるまの中に入っているのは赤色の柚子胡椒。地域おこし協力隊として高梁市へ移住した店主が、かつて銅山と紅色の顔料ベンガラで栄えた吹屋地区をイメージして2015年に開発。原料となるトウガラシを自ら栽培し、寒暖差で磨かれた完熟ユズを集めて一つひとつ丁寧に加工している。蓋を開けると広がるユズの香り、一口食べるとピリリと辛いトウガラシが合わさって、料理の美味しさをより一層引き立てる。2020年からは「吹屋ふるさと村・紅辛(べんがら)唐辛子プロジェクト」がスタート。「ベンガラ」改め「紅辛(べにから)い町」として町並みでトウガラシを育て、町のスープカレー店や食堂で消費するという取り組み。歩く楽しみ、食べる楽しみを通じて地域を盛り上げ、吹屋の「紅」の物語を未来へ繋げる活動を展開している。

パスクラサンバター

さんようみねるば

パスクラサンはフランス原産の西洋梨の一種で、芳醇な香りとクリーミーな食感が特徴。11月下旬に収穫され、食べ頃を迎えるのは1月。熟せばスプーンですくえるほどまろやかになる。日本では明治時代に栽培が始まったが、風で実が落ちやすかったり、収穫後に行う追熟の状態を見極めるのが難しかったりで、現在生産しているのは赤磐市の農家数軒のみ。手間を惜しまない農家のこだわりが繋いできた幻の果実を「絶やしてはいけない」と、地元の瀬戸南高校がPRに取り組み、誕生した「パスクラサンバター」。果実の甘みや香りが感じられるようバターの分量は全体の2割に抑えてあり、とろりとした食感に仕上がっている。食パンやクラッカーに塗って食べるのがおすすめ。高校の文化祭や百貨店、イベントなどで紹介し、地域をあげてパスクラサンの魅力を全国へ発信している。

岩井滝・高清水トレイル

鏡野町

鏡野町の最北端、三国山の麓にある岩井滝。巨大な岩盤の下を通り、滝の裏側から流れ落ちる清水を眺められることから「裏見の滝」とも呼ばれ、涼を求めて多くの人が訪れる。冬には滝が凍り、圧巻の氷瀑が現れることでも有名。滝の手前には「日本名水百選」の名水「岩井」が湧き出ている。高清水トレイルは、鏡野町と鳥取県三朝町の県境を尾根に沿って歩ける約8kmのトレッキングコース。ふかふかの木のチップが敷き詰められたルートは足腰にも優しく、中国山地に広がる四季折々の景色を眺めながら気軽にトレッキングが楽しめる。

妖精の森ガラス美術館

鏡野町

ウランガラスとは着色剤として微量のウランを混ぜたガラスのこと。色は黄緑色でブラックライト等の強い紫外線を当てると、美しい緑色の蛍光を放つ。1830年代にチェコで誕生、ヨーロッパやアメリカへ広がり、日本でも大正から昭和にかけて食器や花瓶などが作られた。鏡野町の人形峠は昭和30年から国内で唯一ウランの発掘採取が行われた場所。人形峠産ウランを使用したオリジナルガラスを「妖精の森ガラス」と命名し、一つひとつ手づくりで作品を制作している。美術館では19世紀のボヘミアガラスの名品から現代に至るさまざまな作品が鑑賞できる。

たまごかけご飯の聖地

美咲町

日本人なら誰もが知っているたまごかけご飯。美咲町出身で明治を代表するジャーナリスト・岸田吟香(ぎんこう)が愛好し全国に広めたとされる説に着目し、たまごで町おこしをスタート。2008年に開店した「食堂かめっち。」では、地元にある西日本最大の養鶏場から産みたての卵を仕入れ、「日本の棚田百選」にも選ばれた町内の棚田米を使用。みそや漬物、器も特産品の「桜湖焼」を使うなど、とことん“美咲町産”にこだわっている。「たまごかけご飯の聖地」として全国的に有名になり、年間約7万人の来店客でにぎわう。

高梁市成羽美術館

高梁市

高梁市成羽町が生んだ洋画家・児島虎次郎の遺徳を顕彰するため、岡山県初の町立美術館として1953(昭和28)年に開館。1994年に現在地へ移転、建築家・安藤忠雄氏の設計により新築開館した。成羽陣屋跡の石垣上に佇む打放しコンクリートの美術館は周囲の緑と調和し、美しい景観を楽しむことができる。館内の美術作品とともに、季節や時間、さまざまな角度から見えてくる建築の異なる表情を見つけるのも楽しみの一つ。成羽地域で採取された植物化石資料の収蔵品展示や、独特の建築空間を活かした現代作家の展覧会など多彩な活動を展開している。

帝釈峡

帝釈峡観光協会

広島県庄原市東城町と神石郡神石高原町にまたがる国定公園・帝釈峡は、中国山地の中央に位置する全長18㎞の峡谷。1923年に国の名勝に指定され、日本百景の一つでもある。石灰岩台地が深く浸食されて形成されたカルスト地形が広がり、世界でも類を見ない石灰岩の天然橋・雄橋のほか、鍾乳洞や約3億年前に火山噴火で堆積した地層・断魚渓など見どころが満載。水鳥も飛来し、人造湖とは思えない佇まいを見せる神龍湖も魅力あふれるスポット。秋の紅葉シーズンには辺りの木々が真っ赤に染まり、湖面とのコントラストの美しさは必見。

ヒノキラボ バスソルト

株式会社 ヒノキラボ

1985年に「森を守ろう」という想いから始まったヒノキラボでは、岡山県に生育するヒノキを通じて心と身体と自然に優しいライフスタイルを提案。新庄村で精製した3種類の岡山ひのき精油と、天然塩をブレンドしたバスソルト(葉・枝葉・木)は、清々しいヒノキの香りが広がり、お風呂に入りながら森林を歩いているかのようなリラックス感が楽しめる。また、商品開発を通して新庄村の地域振興や雇用を創出。自然の循環に合った原料調達や人に寄り添った製品づくりなどサステナブル(持続可能)な取り組みを行っている。

長谷井のかまぼこ(ひらじゃこ天)

株式会社 長谷井商店

うま味とコクがあるのに、小骨が多いため敬遠されがちなヒラ。岡山では骨切りを行い昔から食べられている地元漁師自慢の魚だ。長谷井商店では創業以来の技を活かし、ヒラの身を100%使ったじゃこ天風さつま揚げを開発。骨ごとすりつぶした豊かな食感とうま味が特徴。魚へんに「岡山」と書いて「ヒラ」と読む創作漢字を商標登録してブランド化し、ヒラの消費拡大にも取り組む。
また、独自の技術とアイデアで瀬戸内レモンや黄ニラなどの地元食材のかまぼこを開発。SNSを通じて食べ方を提案し、岡山県の食の魅力を発信している。

銀沫(ぎんしぶき)

かつやまのいも生産組合

真庭市勝山地区が誇る秋の味覚「銀沫(ぎんしぶき)」。ツクネイモの一種で、生産者一同が試行錯誤を重ねながら、栽培方法を確立し育て上げた幻のヤマノイモ。同地区の名瀑・神庭の滝の銀色に輝く飛沫が畑に降り注ぐ創作イメージから命名された。特徴は切り口の白さ。舌触りがきめ細やかで風味がよく、アクが少ないため時間が経っても変色しない。粘りはつきたての餅のような食感。すりおろしてすり鉢ですると粘りがさらに増し、箸でつまめるほどの弾力になるという。口に含めば淡雪のようなとろける触感と濃厚な味わいが広がる。

岡山のり

岡山県漁業協同組合連合会

吉井川・旭川・高梁川の3大河川から栄養豊富な水が流れ込む岡山の海。ノリ養殖の歴史は古く100年を超える。生産者は漁場特性を活かし、海面に網を浮かべて養殖する「浮き流し養殖」によって毎年約2億枚を生産。全国ベスト10の生産量を誇る。栄養満点で風味のよい岡山のりの知名度を高めたいと、2015年からはシーズン最初の入札会で最高の等級を得た新のりに限定して「新の頂」、2番刈りまでの上質なのりを若等級とし「若のり」というブランドで販売。ノリを使った商品「岡山海苔天」の開発やイベント参加などの取り組みを行っている。

紅のうたかた

福山わいん工房

福山わいん工房は2016年、福山市の商店街に開業。「紅のうたかた」は広島県産のマスカット・ベリーAを丁寧に醸し、15ヶ月間瓶の中で熟成させたスパークリングワイン。複雑で味わい深い樹齢約80年のブドウも使用し、フランスのシャンパーニュ地方に伝わる伝統的な製法で、すべての工程を手作業で行っている。色合いはバラを連想する濃いロゼ色。グラスに注いだ時に立ち上る美しい気泡と口に含んだ時の爽快感、長時間の熟成を経た落ち着きある味わいが美味。瀬戸内でとれる野菜や魚、肉と相性がよく、それぞれの味を引き立てる。

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