MAGAZINE 人・もの・こと
おかやま果物時間
JR西日本 岡山支社 企画課(ふるさとおこし本部)
遠藤茂仁
株式会社ジェイアールサービスネット岡山 営業部 営業管理課
大田万美加
おかやま果物時間|ジェイアールサービスネット岡山 大田万美加×JR西日本 岡山支社 企画課 遠藤茂仁
フルーツで伝える 岡山の魅力
果物王国・岡山では夏から秋にかけておいしい果物が旬を迎えます。2019年7月1日からスタートした観光キャンペーン2019「おかやま果物時間」がはじまる初夏、JR西日本岡山支社 ふるさとおこし本部の遠藤 茂仁さん、ジェイアールサービスネット岡山の大田万美加さんにお話をお聞きしました。
フルーツ&アートをテーマに魅力発信
7月からスタートした観光キャンペーン2019「おかやま果物時間」について教えて下さい。
遠藤茂仁(以下遠藤) 温暖な気候に恵まれた岡山では、夏になると白桃やマスカット、ピオーネなど次々とおいしい果物が旬を迎えます。また、今年は秋にかけて「瀬戸内国際芸術祭2019」や「岡山芸術交流2019」などのアートイベントが開かれます。
「おかやま果物時間」は11月末まで開催され、テーマは「フルーツ&アート」。県内の飲食店200店舗以上で提供されるフルーツメニューをめぐるスタンプラリーやフルーツ狩り体験、多彩なアートイベントなどが県内各地で企画されています。岡山駅中央改札口では上部に大型フラッグを掲げてPRしていますので、目にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
JR西日本 岡山支社でもさまざまなイベントを企画しているとお聞きしました。
遠藤 列車関連では、8月3日に観光列車「岡山漫遊ノスタルジー」による日帰りツアーを予定しています。「岡山漫遊ノスタルジー」は伯備線・姫新線・津山線により県内を一周できる列車(岡山駅発着)。途中下車する津山駅では旬の桃狩りが楽しめるほか、総社駅、備中高梁駅、新見駅、中国勝山駅など各停車駅で地元の皆さんによるおもてなしを受け、各地の魅力を堪能することができます。
遠藤 観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」が毎週土曜日に「瀬戸内国際芸術祭」の玄関口となっている宇野駅まで運行するので、芸術祭へのアクセスとして利用していただくとアート気分もさらに盛り上がるのではないかと思います。
絶品フルーツが楽しめるメニュー
大田万美加(以下大田) 岡山駅2階新幹線改札口内の駅ナカショップ「ふるさとキューブ」では、キャンペーン期間中には名前を「フルーツキューブ」に変更して果物関連の商品を販売します。期間限定の商品「おかやまぶどうアラカルト HAPPY BOX」も登場しますよ。
手軽に種類の違うぶどうが楽しめて、見た目にもかわいいですね
大田 シャインマスカットやピオーネなど、大粒でみずみずしい県産ぶどうの詰め合わせです。時期によって中のぶどうも変わっていきます。電車の中でつまんだり、コンパクトなのでお土産に持ち帰ったりするのも便利だと思います。
駅ではやはり果物のお土産が多いですか?
大田 そうですね。瀬戸内地方は果物栽培が盛んなので果物を使ったものは多いですね。みずみずしいフレッシュなフルーツをお土産にされる方もいらっしゃいますが、果物は旬が限られていますので、保存がきいて持ち運びに便利な加工品を好んで購入される方もいらっしゃいます。
大田 今の時期よく売れているのは清風庵の「清水白桃ゼリー」です。まるで桃を食べているかのような食感。桐箱入りで高級感もあって贈答品でも喜ばれるお土産です。
新幹線構内の「カフェ マスカット」では岡山県のご当地メニューが楽しめるんですが、「果物時間」期間中は、期間限定で果物を使ったドリンクが登場しています。
大田さんおすすめ
岡山駅改札内ふるさとキューブで購入できる「フルーツのお土産」
地元で掘り出した「いいもの」を紹介
「ふるさとキューブ」は、地元の美味しいものを置いていると伺いました。
遠藤 JR岡山支社では、岡山・備後地方に眠る、ここにしかない「いいもの」を見つけ出し、全国に発信していく「ふるさとおこしプロジェクト」を展開しています。その活動の一環で地元の「えぇとこ」「えぇもん」「うめぇもん」を掘り起こして認定する「ふるさとあっ晴れ認定委員会」を開催し、昨年秋で11回目を迎えました。
大田 2015年7月にオープンした「ふるさとキューブ」では、認定委員会で太鼓判を押された美味しいものをはじめ、岡山限定のマスキングテープをはじめとする工芸品などいいものも並べ、今まで100種類以上の商品を取り扱ってきました。
遠藤 大田さんはオープン時、販売スタッフとしてお店に立っていたんですよ。
大田 はい(笑)。駅の構内にはお土産品を販売する「おみやげ街道」もありますが、「ふるさとキューブ」では季節ごとに商品を入れ替えるので、足を運んでもらう度に新しい発見があると思います。
遠藤 商品の中には、今まではあまり知られてなかったもの、駅で取り扱われてなかったものが多いんです。旅の玄関口である駅で販売することによって、地元の方や県外の方に目にしていただく機会が増えますし、まず最初に「ふるさとキューブ」で販売し、評判のよいものは「おみやげ街道」へと展開していきます。
大田 そうそう、驚くようなものが売れ筋になることもありますよ(笑)。
遠藤 意外なところでいえばMSファームのキャビアでしょうか。新見市の高梁川流域で全国でも珍しいチョウザメの養殖に20年前以上から挑戦し、国産キャビアの商品化に成功したもので、当初、高額という面もあって駅では難しい、という意見もあるなか試験的に販売してみたのですが、予想以上に反響が大きかったんです。何がヒットするのかは、実際にやってみないと分からないですね。
※販売当時は「新見漁港共同組合」が製造
大田 「ふるさとキューブ」の店頭に立っていたとき、心掛けていたのはその商品の魅力を伝えるトークです。置いてあるだけでは伝わらないこともあるので、対面販売のような感覚でお客様に説明していました。
説明で商品の魅力をさらに伝える…お土産コンシェルジュみたいですね。
大田 時間がない方は急いで買って行かれますが、話しかけてくださるお客様も多くいらっしゃって。「また来たよ」と何度も足を運んでくださる方も。
遠藤 週末には実演販売をするときもあります。目の前で生産者の方に説明をしていただき、実際に食べて、味を知ることで、ファンになる方も多いんですよ。
大田 実演販売では、生産者の方も直接お客様の声が聞けるので喜んでくださっています。
遠藤 県内や備後地方をまわっていいものを探しているんですが、今までなかなか認知されていなかったものが、駅で紹介されることによって広がっていくことは本当に嬉しいですね。生産者の方にお話を伺う中で、その想いはもちろん、歴史など初めて知ることも多くて、もっと多くの皆さんに知ってもらいたいと思うものがたくさんあります。
駅ナカでしか買えない限定品もありますか?
遠藤 認定した生産者の方とJR西日本岡山支社、ジェイアールサービスネット岡山の3社で、商品開発した「JR PREMIUM SELECT」シリーズを販売しています。瀬戸内育ちの果実で作った「チューハイ」や瀬戸内産のドライフルーツを使った「蒜山ショコラ」(季節限定)など手掛けてきました。
大田 旅の思い出としてのお土産はもちろん、新幹線の中で食べたり、日常でのちょっとした贈り物にしたりと喜ばれているんですよ。
商品開発の点でも、フルーツは魅力的ですね。
遠藤 岡山の果物は、豊かな自然と温暖な気候、試行錯誤を繰り返しながら改良されてきた栽培技術によって味も良く種類も豊富ですので、それらを活用して今後も更なる新しいものづくりができればと思っています。
大田 生の果物はもちろん、県産の旬の果物を使用した商品を売り出していきたいですね。果物の個性を感じられる色とりどりの商品によって、店内も華やかになると思いますので、とっても楽しみです。
遠藤 お土産でも岡山の魅力を伝えていくことができますし、いい素材があり、伝統的な技術や工法があり、それらを掛け合わせて、チームで知恵を出し合って商品を作りだして発信していくことで、地域を盛りあげることにもつながります。
遠藤 今回の「おかやま果物時間」で、フルーツやアートを楽しむきっかけにして、岡山さらには瀬戸内エリア全体の魅力を知ってもらうことに繋がればと思っています。
(2019年6月取材)
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