ふるさとおこしプロジェクト

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ふるさと文庫

#04

ふるさと文庫

BOOKS

『ももたろう』

松居直 文 赤羽末吉 絵 福音館書店 刊

おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。桃を持ち帰って切ろうとしたら、なんと桃からかわいい男の子が生まれ…。お馴染みの昔話「ももたろう」。日本で現在出版されているももたろうの絵本は、入手可能なものだけでも50種類を超えますが、中でもひときわ際立つ魅力を放つのが、松居直、赤羽末吉コンビによる絵本『ももたろう』です。
魅力のひとつは、独特のことばのリズムにあります。耳に心地よい音と、民話調の生き生きとした日本語で語られる本書の一部を、少しご紹介しましょう。

「かわかみから つんぶく かんぶく つんぷく かんぷく ながれてきました」
「ももが じゃくっと われて、なかから かわいい おとこのこが、 ほおげあ ほおげあっといって うまれました」
「おにがしま めざして、やまこえ、たにこえ、うみをこえ、ゆくがゆくが ゆくと」

松居直さんによる再話を、力強い絵の力で引き立てるのは、画家・赤羽末吉さん。日本人としてはじめて1980年に国際アンデルセン賞を受賞。幼い頃、誰もが読んだ『スーホの白い馬』の赤羽さん、と言えば、思い出される方も多いのでは。昔話はもともと、ひとからひとへ、語られることで伝えられてきたもの。だからこそ、絵本にするのがとても難しいと言われます。多数出版されてはいるものの、本当に「これぞ!」というものになかなか出合えません。そんな中、1965年の刊行以来、読み継がれる本書は、「ももたろう」の決定版、と言っても過言ではありません。

2018年、”「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま”として、岡山、倉敷、総社、赤磐の4市が日本遺産に認定されました。真の昔話の面白さが味わえる1冊をお供に、小さな方と一緒に「ももたろう」を味わう旅はいかがでしょう。おやつには、きびだんごをどうぞお忘れなく。

選書・文 スロウな本屋 小倉みゆき

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