ふるさとおこしプロジェクト

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SHIN CAN SEN
CHU-HI

新缶線CHU-HI 開発秘話

SHIN CAN SEN CHU-HI|JR西日本グループ

移動時間を楽しみに変える
「SHIN CAN SEN CHU-HI」

JR西日本グループは、2024年3月15日、新幹線の移動中に新幹線車内で楽しむことをコンセプトとしたオリジナル缶チューハイ「SHIN CAN SEN CHU-HI(新缶線CHU-HI)」を発売します。「瀬戸田レモン」と「岡山シャインマスカット」の2種類をラインナップする新缶線CHU-HI。企画・開発に携わったメンバーに話を聞き、開発秘話に迫りました。
話を聞いたのは、JR西日本 鉄道本部の齊藤 広記さん、JR西日本 岡山支社 ふるさとおこし本部の遠藤 茂仁さん・松本 崚太郎さん、ジェイアールサービスネット岡山 営業部の田中 友隆さん、edge graphicsのディレクター秋岡 寛子さんです。

新幹線の強みを生かした商品を

SHIN CAN SEN CHU-HIは、どのような経緯で生まれたのですか?

齊藤 広記(以下 齊藤) 新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いてきた2023年の春頃、新幹線のご利用促進に向けて市場分析やアンケート調査を行ってみました。その結果、西日本エリアのおおむね1時間30分以内を目安とした移動に目を付けたんです。インタビューなどを通じてお客様の声を集めて分析して、新幹線ならではの強みのひとつとして出てきたのが「移動しながらアルコールが楽しめること」でした。

車内でアルコールを楽しみながら移動ができるという新幹線移動のメリットからスタートした商品企画。新幹線の移動中の車内で飲むことに特化したシンボリックな商品を作ることで、新幹線での移動促進へ繋げようというアイデアが生まれたと言います。

遠藤 茂仁(以下 遠藤) そのときに白羽の矢が立ったのが、JR岡山支社でした。JR西日本では各支社ともに地域共生事業に取り組んでいるのですが、その取り組みの一環として地域と連携した商品開発をおこなっており、地域の果物を活用したチューハイの商品開発実績があったのです。

JR西日本 鉄道本部 齊藤 広記さん

JR 西日本岡山支社ふるさとおこし本部 遠藤 茂仁さん

CHU-HIシリーズ」は2017年に瀬戸田レモンチューハイを販売。その後、岡山白桃やしまなみ八朔、2022年には岡山シャインマスカットも加わり、現在4種類を販売する人気商品となっています。岡山支社が「ふるさとおこしプロジェクト」の一環で取り組んでいる、ふるさとあっぱれ認定事業者の宝積飲料株式会社と協働した商品で、地域産のフルーツを楽しんでもらうシリーズです。

遠藤 CHU-HIシリーズが好評で、さらに広域で商品を展開したいと思っていたところ、ちょうど良いタイミングで相談をいただきました。ぜひ協力したいということで、新缶線CHU-HIの開発が動き出しました。

齊藤 コンセプトは「新幹線で移動するときに、車内で手軽に楽しむチューハイ」です。遠藤さんにご相談したときは、新缶線CHU-HIという商品名も決まっていませんでしたよね。

SHIN CAN SEN CHU-HI 瀬戸田レモン

SHIN CAN SEN CHU-HI 岡山シャインマスカット

SHIN CAN SEN CHU-HIを、瀬戸田レモンと岡山シャインマスカットの2種にした理由は?

松本 崚太郎(以下 松本) JR西日本岡山支社のエリアが岡山県と広島県備後地方(東部)にまたがっていますので、岡山県と広島県から1種ずつ選びたいというのがありました。岡山県では白桃を手に取ってくださる方が多いのですが、広域でみると岡山シャインマスカットの方が人気です。広島県ではレモンがよく伸びていましたので、人気の2種をピックアップすることになったのです。

JR 西日本岡山支社ふるさとおこし本部 松本 崚太郎さん

地元産の果汁を使い、アルコール分は控えめの3%に

SHIN CAN SEN CHU-HIの魅力を教えてください。

松本 商品の魅力は、瀬戸田(尾道市瀬戸田町)産のレモン果汁、岡山県産のシャインマスカット果汁を使っている点です。瀬戸田レモンについては、瀬戸田エリアの地域活性化を実現することを目的に、弊社とJAひろしま(旧 JA三原)は連携協定を結んでいます。
岡山県産シャインマスカット果汁は、ふるさとあっぱれ認定事業者でもある、岡山市の農産物一次加工品の製造企業・つむぐ株式会社さんと連携しています。地元産の果汁を使用することで、ご当地ならではの特別感を味わえるのが新缶線CHU-HIの魅力だと思います。

遠藤 あと瀬戸田レモンも岡山シャインマスカットも、アルコール分は3%になっています。移動中の車内で楽しむことをコンセプトとしているので、低めのアルコール分で車内でも気兼ねなく楽しめ、ちょうどよいほろ酔い気分を楽しめるのではないでしょうか。お酒が弱い方にもおすすめです。

松本 もうひとつは、缶のデザインです。缶に新幹線が入ることでコンセプトが分かりやすくデザインされていて目を引くと思います。視覚的に楽しめるのも、新缶線CHU-HIの魅力ですね。外国人旅行者の皆さんにも、ぜひ手に取ってもらいたい商品です。

SHIN CAN SEN CHU-HIは、主にどのような方をターゲットにした商品なのでしょうか。

田中 友隆(以下 田中) ターゲットは20〜30代です。友人同士の旅行で、行きの気分を盛り上げたり、帰りの車内で旅の思い出とともに楽しんだりしていただけたら。ビジネスで新幹線をご利用の際には、仕事が終わって車内でくつろいでいただけるきっかけになると嬉しいですね。

ジェイアールサービスネット岡山 営業部 田中 友隆さん

若者層をターゲットにした新缶線CHU-HI。他にも、車内の移動時間を楽しむアルコール飲料の企画として、岡山県酒造組合に加盟する蔵元の日本酒をミニボトルで楽しめる「OKAYAMA SAKAGURA COLORS」の販売など、さまざまな企画が一連の新幹線利用促進に向けた分析と施策検討の中で並行しているといいます。

齊藤 JR西日本では、子育て世帯やファミリー層をターゲットにした「旅育」という企画もホームページ上の専用コンテンツで立ち上げました。鉄道旅行を通じて、旅程の計画や乗車マナーなど子どもたちがさまざまな体験をしながら、心身を育んでもらえたらという取り組みです。
さまざまなお客様のニーズに応じて、鉄道との関わり方や楽しみ方を提案していく必要性を感じています。

OKAYAMA SAKAGURA COLORSを2本購入で、オリジナル巾着袋を無料配布中(2024年2月現在)。
RailStarのアイコンがあしらわれた巾着袋は、ギフトバッグとしても利用できる。

OKAYAMA SAKAGURA COLORSのミニボトル(ラベル色は販売中のものと異なります)

新幹線らしさを押し出したデザイン

SHIN CAN SEN CHU-HIのデザインについて教えてください。

秋岡 寛子(以下 秋岡) デザインについては、現在販売している地域素材を活かしたCHU-HIシリーズや他社商品との差別化も考慮して、まずは調査からスタートしました。JRならではの特別感のあるデザインになればと思い、新幹線のかっこよさやスピード感をタイポグラフィーで表現しています。

商品のネーミングについては、新幹線で楽しむ缶チューハイということで、SHIN KAN SENのKANをCANに変えた「SHIN CAN SEN」という商品名が採用となりました。新幹線ならできる、新幹線なら飲めるよね、というシンプルなわかりやすさが皆さんに好評でした。

普段はJR岡山グループの皆さんと商品開発を行っているのですが、西日本エリアの広域な商品開発となると関わる会社も人も増えるので、時間をかけて一つひとつ整えていきました。

新缶線CHU-HIという名前が決まったあたりからは早かったですね。商品名が決まることで、目指す方向がより明確になっていくのだと思います。

edge graphics 秋岡 寛子さん

右が既存のCHU-HIシリーズ、左が今回発売となった新缶線CHU-HI。

おいしいだけじゃない、楽しみかたは無限大

SHIN CAN SEN CHU-HIのおすすめの楽しみ方を教えてください。

松本 「岡山海苔天」等と一緒に飲んでいただくのがおすすめです。「岡山海苔天」はJR岡山グループが開発した「JR PREMIUM SELECT SETOUCHI」シリーズの商品で、岡山産の海苔をカラッと揚げたスティックタイプのおつまみです。

田中 旅先や駅で売っている駅弁や、その地域の特産品と一緒に楽しむと、旅も盛り上がりますよね。

遠藤 新缶線CHU-HIは甘さが控えめなので、いろんな食べ物と相性がいいんですよ。

松本 あとは、新缶線CHU-HIを車窓に置いて写真を撮影したり。新幹線ファンの皆さんは飲んだあとも部屋に飾ってもらえたら。撮影した写真をSNSなどに投稿したりぜひ、ご友人・ご家族に自慢してください(笑)

秋岡 N700系をモチーフにしたレモンの缶と、実際のN700系の新幹線をいっしょに撮影してみたいです(笑)

新幹線といえば「SHIN CAN SEN CHU-HI」そう呼ばれるように育てていきたい

齊藤 コロナ禍を経て、ECやリモートがさらに普及し、移動というものの「機能的な価値」が見直され始めていると感じています。これからは新幹線を含めた移動時間を、無機質なものではなく楽しめる時間にしてほしいという想いがあります。友達同士で賑やかに、あるいは一人でゆったり、人それぞれの「情緒的な価値」を見いだす出すお手伝いができたらと思います。

新幹線で移動中に楽しむ食品といえば「駅弁」と「硬いアイスクリーム」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。どちらも新幹線の旅を想起する象徴的なものとして、定着していますよね。新缶線CHU-HIは、それと同じような楽しみ方をして欲しいんです。「新幹線で楽しむものといえば、『駅弁』『硬いアイスクリーム』『SHIN CAN SEN CHU-HI』」となれるよう、育てていきたいですね。

田中 本当にそうですね。デイリーサービスネットをはじめ、私たち販売者の立場としては圧倒的な売場展開をしていきたいです。そして「新幹線だと飲みながら移動ができる」というイメージをつくりあげて、新缶線CHU-HIを定番化していけたらいいですね。

秋岡 移動が手段ではなく目的になる、そんなきっかけの商品になればこの上ない幸せですよね。

遠藤 今回は本数限定なので、売り切れたらぜひ第2弾の販売に挑戦したいと思います。

(2024年2月取材)

さまざまな想いを詰め込んだJR西日本のオリジナル缶チューハイ「新缶線CHU-HI」は、京都から大阪・兵庫・岡山・広島・山口・福岡の各新幹線停車駅、主要なターミナル駅で2024年3月15日より、初回5万本限定で販売を開始します。

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